昔に読んだ「チーズはどこへ消えた?」の本。
2匹のネズミと2人の小人がチーズを探す話。ネズミの頭脳は単純だが、小人のは複雑で賢い。しかし、時に単純な頭脳が勝ることがある。と、この本では示されている。単純な頭脳が勝るとはどういうことなのか。普通に考えても人間である小人のほうが賢いに決まっている。だが、この賢さが裏目に出ることがあるのだ。この本では「変化」にそれがあった。

二匹と二人はたくさんのチーズを発見し、二人のほうはその場所の近くに住居を置くようになった。しばらくは安泰だったが、ある日チーズがなくなってしまった。これが「変化」である。この事態に二人は愕然としこの変化を認めようとせず、変化にさからった。「こんなことがあってはならない」と。

一方、2匹のネズミはなくなったその日からすぐまた新たなチーズを求めに
探しに出かけた。ネズミはなくなる以前から変化に気づいていて
いつかそれがなくなることを本能的にわかっていた。「いつかはなくなる」と。

チーズ欲しさにすぐさま探しに出かけたネズミ。変化を認めずただ失望しする小人。これは単純さと複雑さを象徴しているといえるだろう。人の多くが変化を嫌う。変化のないほうが居心地がいいからだ。変化はリスクの伴うものと思われている。「もし失敗したらどうなるか」と考えずにはいられないのだ。しかし世の中は絶えず変化している。だから人も変わらなければいけないのだ。

この本は絵本の感覚で読めるので面白い。しかしながら大人向け、正確にはサラリーマン向けの本なのだ。「変化」。そう、常に進化し続けるこのご時世、変化についていけない人、企業は取り残される。くよくよしてても仕方が無い。常に前向きに前進しよう、という本なのだ。


あまりにも有名な本なので知っている方もいると思うが、実はこれを揶揄(?)する本が存在する。「バターはどこへ溶けた? 」だ。日本人はこっちの本が好きだと思う。今では両方読んでどちらの本が好きか考えるのが通例となっている。ちなみに俺はチーズ派(会社の奴隷はうんざりだが。)。あなたはどちら派?