写真日記 -後編-

いよいよ後編だ。前回、明日書く、といっておいて2日もずれてしまった。バイトが予想以上に疲れたのだ。今日もこの後深夜からある。これで連日バイトはひとまず終わる。その前に、この万博日記もすべて終わらしてしまおう。粗雑なところがあるがご了承願いたい。


陶器はよく、焼き物・瀬戸物といわれるがそれで有名な瀬戸市には海上の森という森林地帯がある。ここは名古屋という都市、または市街地の隣にあり車でも中心部から30分程度でつくのだが、これほど市街地化された場所の近くに大自然が残っているのは世界的に極めて珍しいそうだ。(だからこそ、住民はこの大自然を守ろうとこの自然を破壊する万博には強く反対していたわけだ。ちなみに、その成果として、愛知青少年公園という昔からあった県内でも桁外れにでかい公園一帯をメイン会場にすることに変更して、森林の破壊は必要最小限に留まる事になった)

万博では、この貴重な大自然を満喫してもらおうと多くの森林体験ゾーンが設けられている。その一つがこの写真の千年の森だ。


木に巣箱がつけられている


子供たちの環境保護を訴えるメッセージが巣箱に書かれている。

この他としては、万博人気に一役かった「サツキとメイの家」などがある。


グローバルループのいたるところにたくさんのベンチが設けられている。


とにかく疲れるのだ。たしか1周するのに3キロ弱あったと思う。歩いて2,3時間もすればベンチの重要性に気付くはずだ。

幸い、いたるところにあるため混雑時によるベンチの不足もまずなさそうだ。


参加国の国旗。120カ国


街路灯。


階段。各パピリオンをつなぐ場所にある。造りは写真のとおり木造。この万博では道にあたるものはほとんど木で作られている。(土台はさすがに鉄筋でつくられている)

この木材について詳しくはわからないが、建築、木工製品の際に残った木材を使っている印象を受けた。少なくとも「新しい」という感じはしなかった。


赤十字館。中は時間がなくて入れなかった。


カナダ館。映像を駆使した内容だったがはっきり言って何がしたいのかわからなかった。期待していただけに残念だ。

話は変わるが、カナダはワーキングホリデーを利用できる国だ。一度バンクーバーからトロントくらいの距離を観光してみたい。結構、現実的な夢でもある。


また面白いもの発見。長さ40cmを誇るソフトクリームのお出ましだ。ただ先端の角を引き伸ばしただけじゃないか、とは口が避けてもいえない。

こういうネタは面白いからいい。しかし600円は高すぎる。他にもピザが1000円とかラーメン1000円とか本当に高い。これにはほとんどの場合「ドリンク付き」と書かれ、それならそんな高くないか、と思わせてるところがあるがお金のない俺にはそれでも安くは感じなかった。

ただ、ディズニーランドや、USJよりはだいぶましではある。(比較するべきではないかもしれないが)


アマゾン館。展覧会のような内容となっている。


このようなかんじ。


適当にぶらついていても必ずどこかでイベントが行われている。写真は海外の大道芸人。ジャグリングをやっていた。

他にも、前編で紹介したスマップを歌うギターコンビのストリートライブやアコーディオンのメロディーに乗せて軟体を披露する芸などいろいろあった。

こういうのはすごくいい。「また万博行こうかな」と思わせる要素の一つに入ると思う。パビリオンが楽しいかはおいておくとしても、小さなイベントは表には出ないが十分楽しめるものだ。俺は万博に行く前はパビリオンにばかり気をとられていたが、行ってみて、このことに気付いてから万博の印象が変った。


アメリカ館。俺の目の前に外国人カップル。

彼ら待ち時間の間ずっとじゃれあってた。キスもしていた。(もう、困るわーw)


ベンジャミン・フランクリンアメリカの礎を築いた偉人。アメリカ館は彼の人生をコンセプトに構成されている。


銅像


なんか、ブッシュのメッセージが壁に掲載されていたが人の流れに負けて読むことができなかった。すまないブッシュ。


アメリカ館のメインブース。6つの画面でリアル体験ができる。内容はベンジャミンフランクリンが見る「今」と「未来」。天国からベンジャミンが登場して、未来である「現代」にやってくる。

「私も今の時代に生まれたかったよ」と嘆くことによって観客に今の技術進歩のすごさを啓蒙する内容。

さすがは映画の本場アメリカ。どこのパピリオンも映像エンターテイメントが多いなか「見せる(魅せる)技術」はアメリカがトップクラス。見る価値あり


メインブースを出ると最後におまけとして衛星画像が展示されている。これは月のクレーター


火星の表面


出口手前に、なんとGMの次世代車、燃料電池自動車が展示されている。名前はAUTOnomy(オートノミー

燃料電池車は自動車産業において環境保護を訴えることのできる究極の自動車だ。二酸化炭素排出ゼロ、公害ほぼゼロ。これが普及すれば新しい技術だけにパソコン業界のマイクロソフトのような独占市場の形成もありえる。それだけに覇権争いは想像を絶するほどにすさまじい。

日本の自動車メーカー、個人的にはマツダトヨタにはがんばってほしい。


休憩。午後3時半くらい。人工芝の設けられた休憩兼イベントスペースだ。俺は脚の疲れをできるだけとるため、大の字にして、といっても消極的に、横になった。曇り空こそいい気はしないが寝転がって時間をすごすのはすごく気持ちがいい。もうねよっかなぁ、と何度も思ったくらいだ。しかし、俺の一番重要な目的が果たせてなかったので思いとどまった。(本当は寝る余裕はあったのだがその余裕を通り越して巡回員に起こされるくらい寝てしまう自信(?)があったのだ。)


コンサート会場だ。楽器、機材等のセッティングがされているのがわかる


天井。


開演!

構成パートは、左からパーカッション、ベース、キーボード(兼ハーモニカ)ギター×2、コーラス(ボーカル)×2。ギターとパーカッションのみの落ち着いた曲から始まる。


パコ・デ・ルシア。なんだろう、この余裕は。



ベーシスト。5弦ベースを使っていた。音のノリはよかったのだがミスが目立っていたのが惜しい。


リズム感あるブラッシング奏法がホール全体に響き渡る。なんて心地いいんだろう。観客はリズム、メロディーをただなぞるだけでいい。何の不安もなく、聞き入ることができる。この安定感、尋常じゃない。


左、ハーモニカソロ。各パートが自己紹介の代わりにソロを弾いている。


これは最後のメンバー一礼。つまり閉演だ。この前に一回メンバーは舞台から降りたが10分以上たってもやまないアンコールに、ついに再登場。アンコールは今まで経験してきた中でも少し違う感じがした。外国人観客がいるからだと思われる。だが、そんな観客全体のノリは自分にとってすごく新鮮でその後の演奏にもいい影響を受けた。1年ぶりくらいにテンションがあがった。

今日来て良かった事を確信した。


こいつかっこよすぎる、と思った。この人、もう60間近の人だ。おじいちゃんと呼ばれ始めるころだ。実際の彼の孫(いるかどうかはわからない)にはそう呼ばれているのだろうか。

この、歳に踊らされない”かっこよさ”は誰もが惚れるかっこよさだろう。俺にも分けてほしい。



閉演直後の会場の様子。3000人の観客は大方満足して帰って言った様子。俺も満足


さて、帰路に向かう。会場はグローバルループの真ん中、いわばマラソンでいう折り返し地点なのでゲートに戻るには1キロ強の距離がある。また歩くのだ。


途中で人だかりが見えてくる。なんだろうと思ってみんなが見る池の方へ視線を移すと、なにやら光のナイトショーなるものがそれらしきBGMとともに始まっていた。これも自分にとっては意外だった。万博はこんなこともやっているようだ。


結局、俺は写真に収めるだけの時間堪能した。コンサート目的だったし、一人なのでこちらのほうには気分が乗らなかったのだ。


万博の夜景。結構きれいだ。

万博の感想としては、思っていた以上に楽しめた。開幕時はメディア各局、各誌、そこらじゅうで特集が組まれて映像によるヴァーチャル万博散歩や雑誌による万博情報などが否が応でも頭に入ってきた。そのときの第一印象は決していいものではなった。「コンセプトがあいまいでなんか中途半端だな」という感じだ。しかし、それは自分があまりにも「万博」という固定観念に執着していたせいだったことに実際に行ってから気付いた。

技術の誇示の場としての万博は過去のものだ。これからの万博は「人間の相互理解」をテーマに含めて国際理解の貢献に一役買う存在にしていくべきだというのは俺の最終的な意見だ。今回の愛知万博は計画不足によりところどころで粗が見えたのは否めないが、逆にこれにより見えてきたものも多い。それを次の上海万博、それ以降の万博に活かしていければもっと面白く有意義なものになるはずだ。これからの万博も、いや、これからの万博こそ大いに期待したい。